市民塾からの提案(’08.3)

 

1.総括提案

 

(1)がんによる在宅死率の第一次目標:

                 現在の4.8%を20%に。

①終末期を自宅で過ごしたい・・85%(「アンケート」)

②20%:吹田市のがんによる死亡者数 760人×20%=152人。

 在宅療養支援診療所(24時間365日診療) 39。

 年間4人ずつ看取って頂くと・・39×4 =156人。

③豊中市:20% 岸和田市:12% との事。

 

(2)「吹田在宅ケアを考える会」で、早急に、吹田地域の在宅終末期医療のネットワークを作り、病診連携のシステムを構築する。

①中間報告・提案書(‘07.3)の時点では、夢のように考えていたのが、’07.6.世話人会が発足、早くも実現へ向けてスタート。

②今年度内に、主として医療者を対象にした公開研究会が2回、世話人会が3回開催されて、具体的な検討が進んでいる。

③先進事例:「福岡県在宅ホスピスをすすめる会」が、‘05.10、発足、活動中で、’07.7には「在宅ホスピスガイドブック」(176頁)を発行。他、尾道方式、長崎方式も。

 

3)緩和ケア病棟の設置と拡充。

①痛みを伴うがんの末期患者については、自宅で療養しつつ、必要になればホスピス・緩和ケア病棟に入院できる体制が望ましく、そのためにも、緩和ケア病棟の設置が必要とされる。

②吹田周辺には、緩和ケア病棟が3つ・・淀川キリスト教病院(大阪市東淀川区、21床)、ガラシア病院(箕面市、23床)、高槻赤十字病院(高槻市、20床)・・の合計64床あるが、待機日数が30~50日と言われている。なお、‘08.8に、千里中央に医療福祉複合施設の建設が予定されていて、緩和ケアベッドが50床と言われているが、まだまだ不足と考える。

③現在開発中の「吹田操車場跡地まちづくり」の中の「医療健康創生ゾーン」に緩和ケア病棟の設置を期待する。

 

(4)患者・家族への相談体制の充実。

①終末期医療における患者・家族からの相談には、治療に関すること、精神心理面に関すること、医療機関の選択や費用に関すること、在宅療養に関することなどがある。まず、医師と患者・家族が対面して、しっかり話をするということが基本。

②「病院の地域医療連携室」「地域包括支援センター」などに「総合相談窓口」を設け、医師、看護師、ソーシャルワーカー、カウンセラーが適切に対応する体制を作っていくことが重要。

③「在宅研」でネットワークとシステム化が進み、病院・診療所等の体制が整っていく段階で、共通の情報を各窓口が持ち、合わせて一般市民に広く周知していく。

 

(5)政治・行政への提案

厚労省の「在宅医療促進策」を効果的に推進するためには、多くの、大きな課題が

るが、国民の福祉の増進のために。総意を集めて提案をしていこうではありませんか。

 

 

2.市民への提案

 

(1)  悔いのない終末期のために、あらかじめ計画を考えておこう。

人は、誰でも死を迎える。悔いのない人生の終末期(=完成期)を過ごすために、心身ともに元気な時に、ゆとりを持って、「納得できる、充実した生活を送れる」ように、エンディング・ノート類の活用をするなどして、文字で考えておこう。

 

(2)「終末期」時の告知について、文書で書いておこう。

①終末期に、患者の意思が分からないと、対応の仕方について、家族や医療者に精神的な負担をかけ、本人の心身の痛みを増す事になる場合がある。

②日頃から、例えば年1回、結婚記念日や誕生日に、家族間で話し合い、文書にしておこう。

③「市民塾」アンケート。

○あなたはこれまで、ご家族とがん告知の問題について話し

 合ったことはありますか。

           はい 58%  いいえ 42%

○もしあなたががんにかかったとしたら、その事実を知りた

 いですか。

・治る見込があってもなくても、知りたい    83%

○もしあなたのご家族ががんにかかったとしたら、その事実

 を知らせますか。

・本人の意向があれば、それに従う       65%

・本人の意向に関わらず、知らせる       22%

④文書例:「尊厳死の宣言書」(日本尊厳死協会)、「事前指

 定書」(社会医療研究所)、「ウイルカード」(泉北ホスピ

 スを進める会)。

 

(3)治療に当っては、患者の意思をハッキリと、家族や医療者に

  主張しよう。  

患者の生命は自分自身のもの。人生最後まで、自分の意思を明確にしよう。

 

(4)がんで余命が限られた時の対応・・緩和ケア、制度としくみ等について、知識を持っておこう。

男性2人に1人、女性3人に1人が、がんになるといわれている。誰もががんになっても、不思議ではない現状。がんになって初めて情報を求めるのではなく、あらかじめ対応の仕方や情報ソースを知っておこう。

 

(5)がん予防に関心を高めて検診で早期発見を(略)。

 

(6)かかりつけ医を持とう。

日頃からコミュニケーションをシッカリ取れる「かかりつけ医」を持って、必要によって専門医、病院、ホスピス等への紹介をして頂けるようにしておく。

 

(7)在宅ホスピスを支えるボランティア活動に参画を。

①ボランティアの参画できる機会(介護・傾聴など)は多い。ボランティア活動の中から、喜びが生まれる。在宅ホスピスを支えるボランティアグループを作ろう。

②とりわけ、今後、独居老人や老老介護の所帯が急速に増加していく事から、近未来の自分のこととして、「共助」の精神で活動をしよう。

 

 

3.医療への提案

 

1)  死は、医療の敗北ではない。患者の意思・希望に真摯に対応を。

①治癒不能になっても治療を続ける事は、患者の心身の苦痛を増すばかりである。

②前提としては、○患者の明確な意思表示(2-(2)-④参照)○治癒不能の判断基準、倫理条項の整備等が必要である。

 

(2)  病院から診療所(在宅医療)へのスムーズな移管が出来るようにネットワークとシステム化及び情報公開。

①「在宅研」の目標の一つであり、早急な構築が待たれる。

②吹田市内には、病院13、在宅療養支援診療所38 訪問看護st.17、訪問介護st.83、等、約320の医療施設がある。これらの中で、終末期医療に特化したネットワークとシステムを作る。(コメディカル―ソーシャルワーカー・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士等、ボランティアも含めて)

③これらの進行状況により、情報公開を。(1-(4))

④次のステップとしては、「全ての疾病」への拡大・展開が期待できる。

 

(3)  医療者の技術レベルの向上を、組織的、計画的に。

①技術レベル:緩和ケア(疼痛緩和)技術、患者との良きコミュニケーションを図る力等、全人的ケアが求められる。

②厚労省では、全国レベルで、

○すべてのがん診療に携わる医師等が緩和ケアの基本的知識を10年以内に習得するための研修

○すべての2次医療圏において、緩和ケアの知識・技能を習得しているがん診療に携わる医師数を5年以内に増加

 という方針で、研修計画を展開する予定であるが、それらと平行して、「在宅研」でも研修計画を前倒しに実行する事が期待される。

緩和ケアは、終末期のがん患者だけでなく、すべての患者に共通する大切なケア。

 

(4)  セカンド・オピニオンの制度整備

主治医から治癒不能と告げられた患者の多くは、更に他の医師による診断を求める ― 所謂「がん難民」。そこで、疾病別のセカンド・オピニオン先のリストを整備して欲しい。

 

(5)  対応医療体制の事例:(略)

 

4.行政への提案

 

(1)  独居老人、老老家庭で終末期を迎える患者への対応を考える。

①吹田の現状(‘05国勢調査と前回調査比)              

  ○高齢夫婦世帯数  12,708 (全世帯数の 8.6%)[+30%]

○高齢単身世帯数  11,337 (全世帯数の 7.7%)[+36%]

②今後も、5~10年にかけて、更に増加が見込まれる。

 

(2)  緩和ケア病棟設置の推進

県知事のリーダーシップで、広島県立広島病院に広島県緩和ケアセンターを設置。外来と県下10の緩和ケア施設(160ベッド)等への指導を担当。吹田にも、こうした中核病棟があって、市内の各病院・診療所の緩和ケアの指導機能を持てると良い。

 

(3)その他、推進、強化、支援事項

①各種必要情報の発受機能の強化。

②地域チーム医療のネットワーク構築の支援。

③がん予防(検診)、治療、終末期医療に関する市民の啓蒙(健康基本調査に)。

④デイ・ホスピス(通所)の設置・・患者の気分転換、介護者の負担軽減に役つ。